目次(仮)

まだぜんぜん予定が未定で困ってる

  1.  ボイストレーニングの原則的な話
  2. 呼吸に関する話
  3. 声帯に関する話
  4. 共鳴に関する話
  5. 身体から考えるボイストレーニング
  6. 言葉から考えるボイストレーニング
  7. 具体的なトレーニング例あれこれ
  8. レーニング論的なもの
  9. ありがちな悩みと解決法

 

 

 

近況

平穏無事に暮らしております。あまり歌に関する活動ができていない状況なので、更新意欲は果てしなく低いですが、某休載の多いことで有名な漫画くらいの頻度で復活しようとは思っています。

 

「頭から声が出ている状態」「頭の高いところによく響いている声」について。

ヘッドボイスなどなどについて説明したついでに。

 

ボイストレーニングの現場では、「頭から声を出すようにしなさい」とか「頭の高いところによく響かせなさい」などというような言葉がよく使われています

これについては、これまで説明してきた、「声区」としての「ヘッドボイス」と関係があるかと言われれば…あんまり無いことが多いです。ヘッドなのに!

 

では「頭から声を出すようにしなさい」とか「頭の高いところによく響かせなさい」とかいう指導言語はどういうものなのか説明しますと…

「いい感じに高音域を出しやすい呼吸・声帯・共鳴の状態が保てていると、頭の高いところから声が出ていたり、頭の高いところでよく声が響いているように錯覚しやすい!」

というのが、この言葉の意味です。

(錯覚ではなく、実際にそういうものだと教える人もいる。)

 

詳細は後々説明していきますが、なぜこういう言葉がよく使われるかというと、この教え方がハマった場合は、「頭の高いところから声を出そう!」というイメージを持つだけで自然と呼吸・声帯・共鳴という発声の3要素をすべて高音発声に適した状態に整えることができるからです。

しかし、「イメージだより」かつ「発声の3要素すべてに影響する(明確なターゲットをもたない)」ため、ハマらない人にはさっぱり理解不能だったり、改善するべきポイントとは全然違うところに作用したり逆効果になってしまったりもしやすいので、こういうイメージだよりの指導言語には頼りすぎない方がいいですし、指導に使う場合はしっかり「具体的に何がどうなったら頭に響くように感じるのか」は理解しておかないといけないでしょうね。

 

 

「呼吸」(というか呼気)については…

「程よい腹圧がかかっていて、かつ声帯でちょうどよく呼気を受け止められていると、声が頭から出ているように感じる」

という感じです。

蛇口の先にゴムホースをつけて、水を撒くときをイメージしてください。

程よい勢いで水を出し、ゴムホースの口を指で適度に押さえて細くすると、高く高く水を撒くことができますね。ここで、水の勢いが弱ければいくら口を指で強く押さえてもそんなに高く水は撒けませんし、逆に水の勢いが強すぎれば口を押える指の力が足りなくなって安定して高く水を撒けなくなってしまったりするものです。

発声時の呼吸についてもそんな感じで、呼気を肺から押し出すための腹圧が弱かったり、逆に強すぎたりすると、息はなんだか低い流れで口から垂れ流されているように感じやすく、適度な腹圧が保てていると、高い流れを保って頭の高いところから息や声が出ているような錯覚を覚える人が多いということです。

また、声帯の閉じ具合と腹圧のバランスも大切で、声帯の閉じ具合が弱いところに強めの腹圧をかけてしまうとバランスが破綻してしまいますし、逆に声帯の閉じ具合が強すぎれば適度な腹圧がかかっていてもやっぱりバランスが破綻してしまって、「頭から声が出ている」ようには感じなくなります。

 

 

「声帯」については、

「単純に声帯が高い振動数で開閉していると、なんか頭の高いところに振動を感じやすくなる」

「声帯が薄く、引き伸ばされて高い声を出すのに向いた状態になると、なんか頭の高いところに振動を感じやすくなる」

という感じです。

高い声を出すには頭に響く声を出せばいい。頭に響く声を出すには高い声を出せばいい。トートロジーですかこれ。

「高い声を出しているのに、頭に響くような感覚がない!それによって高い声の出しにくさがある!」という場合で、かつ声帯が原因であることが濃厚である場合は、声帯が「薄く、引き伸ばされて高い状態になっていない」ということが考えられます。

なので、「頭から声を出す」ためには声帯を厚くしようとする力、声帯を縮めようとする力を抜くことが必要で、「頭に声を響かせよう!」というイメージを持つだけでこういうことができる人もいれば、できない人もいるわけで、できないならもっと具体的に改善するほかないですね。

 

 

「共鳴」については、

「母音(声の共鳴の中心部分)が深い(口の後ろの方にある)ほど頭によく響くように感じやすく、母音が浅い(口の前の方にある)ほど胸や下あごなどに共鳴しているように錯覚しやすい」

という感じです。

また別のところで記事を書きたいとは思っていますが、色々とたくさんある「母音」の違いというのは、口の中で声を共鳴させる「位置」と「広さ」の違いによって生まれます。

で、母音が深め、狭めの方が高音の発声がしやすかったり、ミドルボイスやヘッドボイスをスムーズに出しやすかったりするのですが、こういう「深め、狭めの母音」を使って発声しているときって、声が頭(頭頂部とか、場合によっては後頭部とか)から出ているように錯覚しやすいという仕組みになっております。

口の前側が狭まって奥側が広くなるわけだから、ストレートに声が口からまっすぐ出ていくんじゃなく、頭の上の方とか後ろの方とかから出ていくような気がするわけですね。

 

 

まとめると、「頭から声が出ている」状態とは

  1. ほどよい腹圧を保って、
  2. 声帯をほどよく薄くし、引き伸ばし、
  3. 比較的深め、狭めの響きで発声する

状態ということになります。

繰り返しになりますが、この教え方がハマる人には「頭から声を出す!」というイメージを持つだけで呼吸も声帯も共鳴も高音を発声するのにベストな状態に保たれますが、ハマらない人には何を言ってるのかたぶんわからないので、具体的に、要素を分けて指導したほうがいいでしょう。

 

具体的な練習法などは、記事がもう少しそろってからぼちぼち。

 

 

 

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