「ミドルボイス」について。

「ミドルボイス」の(ボイストレーニングについてそこそこ詳しい人の間で比較的無難な)定義の例について考えていきます。

  1. 声帯全体を普通に開閉させる→「チェストボイス」
  2. 声帯を「短く、一部分だけ」使って高音を出す→「ヘッドボイス」

という定義を前の記事で紹介しましたが、

「2の真ん中くらいにも小さい換声点(声が出しにくくなる、声質が変わるポイント)があるよね?」

という考え方があります。

日本人に多めの声が高めな男性だとC5(hiC)くらい、女性だとE5(hiE)くらい。

で、その換声点の下を「ミドルボイス」と呼び、上を「ヘッドボイス」と呼ぶパターンが、最近のボイストレーニングに詳しい人の間で多い「ミドルボイス」の定義かと思います。

 

要するに、

  1. 声帯全体を普通に開閉させる→「チェストボイス」
  2. 声帯を「短く、一部分だけ」使って高音を出す→「ミドルボイス」
  3. 声帯を「さらに短く、ごく一部分だけ」使って高音を出す→「ヘッドボイス」
  • (例外)声帯を「表皮だけを振動させて」高音を出す→「ファルセット」

という感じに声区を分類します。

これが、「ミドルボイス」の定義としては比較的通じやすいものではないかと思います。 

 

やや余談になりますが、この「小さな換声点」は「地声と裏声の換声点」に比べるとギャップがとても小さく、高音を出すのがもともと得意な人だと「そんなものを感じたことは無い」って場合も多々あるので、そういう天然でミドルボイスもヘッドボイスも苦も無く出せちゃう人にこの概念を伝えるのは意外に難しい。

 

 

一旦「換声点」から話を変えますと。

声帯を「短く、一部分だけ」使って高音を出す状態では、いわゆる「芯のある裏声」「地声っぽい裏声」が出せるということになっていますが、

「地声っぽさを残して発声できるのは下半分くらいで、上半分はどうしてもキンキンした裏声になってしまうよね」

という考え方があるので、「出せる声質」から判断して、地声っぽさを残して出せる音域を「ミドルボイス」、それより上の「地声っぽくはない」声しか出なくなる音域を「ヘッドボイス」と分けるパターンもあります。

音域としては、上の「換声点」を考慮した定義とほぼ変わらないと思います。

 

 

 

 

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